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雪国観光圏とダム① ダムからみる地域の特徴

2021年2月17日

筆者の目

新潟県の湯沢町、南魚沼市、魚沼市、十日町市、津南町、群馬県のみなかみ町、長野県の栄村は、7市町村を圏域として一体的な観光圏で新たな展開をすることにより地域活性化を目指す雪国観光圏を構成しています。

今回から2回に分けて雪国観光圏とダムについて考えてみたいと思います。

 

雪国観光圏について

雪国観光圏は、魚沼市、南魚沼市、湯沢町、十日町市、津南町、みなかみ町、栄村の7市町村を圏域として、2008年に設立しました。2013年には「一般社団法人雪国観光圏」へ移行しました。

雪国観光圏のブランドコンセプトは「国境の長いトンネルを抜けたもう一つの日本」とし、世界でも珍しい「人が住む豪雪地」での、雪に閉ざされるがゆえに伝統的な暮らしや地域の独自性に向き合い、首都圏からのアクセスの良さを活かした企業研修の誘致や圏域に点在する温泉地を核とした滞在型観光など、観光を軸にした地域振興を推進しています。

 

雪国観光圏公式サイト「雪国観光圏について」http://snow-country.jp/?a=corp&page=1

 

雪国観光圏を構成する市町村のダム

雪国観光圏では、ひとつずつでは埋もれてしまう地域資源を発掘し、つなぎあわせ、磨き上げることで世界に通用する価値を生み出すことも目的としています。これは、本来素晴らしい資源であっても、バラバラではその価値が伝わらない。地域の資源を発掘し、つなぎあわせ磨き上げることで、初めてその価値が伝わるという考えに基づくもので、地域独自の価値やストーリー・文化の掘り起こしと磨き上げを食文化などの面で行っています。

 

この考えはダムについても当てはまると思います。雪国観光圏を構成する市町村には多くのダムが立地しています。市町村ごとにダムの数を見ていくと、

 

十日町市 9基

魚沼市 8基

みなかみ町 7基

津南町 4基

湯沢町 3基

南魚沼市 1基

 

となり、圏域には全部で32基のダムがあります。

 

ダムを通じて地域の特徴を知る

これらを地域別にみていくと、おおよそ、南北魚沼、みなかみ、信濃川流域の三地域に区分できそうです。

ダムの目的に注目してみると、湯沢町を含む南北魚沼では、12基のうち8基が発電専用ダムです。みなかみ町は多目的ダムが多いですが、洪水調節や上水道用水を目的に含むダムが立地しています。十日町市と津南町の13基のうち、8基はかんがい用水の確保を目的とし、4基は発電専用ダムです。

これらからはどのようなことがわかるでしょうか?

 

南北魚沼のダムからは、このサイトの「ダムの知識」の項目で述べていますが、魚沼地域の特徴である豪雪や日本のダム建設のあゆみのモデルを見出すことができます。

奥只見ダム

みなかみ町のダムは、利根川の最上流部の地域として関東の治水や水道用水などの確保に大きな役割を担っています。すなわち、関東の水の供給地であり、防災の要となります。みなかみ町については、次回に詳しく述べたいと思います。

矢木沢ダム

信濃川流域(十日町市と津南町)にはかんがい用水の確保を目的としたダムが多いです。これはなぜでしょうか?実はこれは地形と深くかかわってきます。

十日町市や津南町は信濃川が形成する大規模な河岸段丘が発達しています。信濃川には水がありますが、河岸段丘の段丘面とは高低差があるため、信濃川の水は段丘上の農地には使えません。そのため、河岸段丘上で農業をするためにはダムによってかんがい用水を確保する必要があり、南北魚沼やみなかみ町と比べてかんがい用水の確保を目的としたダムが多いのです。

また、発電専用ダムもありますが、水力発電は水を高いところから低いところに落として水車を回し発電を行う方法です。信濃川流域の発電所は河岸段丘の段丘崖を利用しているところが多くみられます。

このように、信濃川流域では、河岸段丘の利用という地域の特徴をダムから考えることができます。

かんがい用水を確保する大谷内ダム(津南町)

ダムの見学的な面で見ますと、みなかみ町では例年、5月中旬の休日にダムの放流設備が安全に作動することを確認するための点検放流を矢木沢ダムや奈良俣ダムで行っており、近年は数千人の人が集まるようになっています。

奥只見ダムは紅葉や新緑が見られ、遊覧船も運航している観光地ですが、以前のコラムでふれたようにダム湖は開高健にゆかりがあり、魚類をはじめとする自然保護活動の面もあります。

南魚沼市の三国川ダムや湯沢町の二居ダムと奥清津第二発電所は非常に見学がしやすいダムや発電所で、湯沢町のカッサダムはロープウェーで行くという珍しい体験もできます。

十日町市にある宮中取水ダムは信濃川本流の大規模なダムですが、魚道観察室が設けられ魚が泳ぐ姿を間近に見ることができます。小千谷市にある市民の家・小千谷信濃川水力発電館では、信濃川の水がどのように発電に利用されているかがよくわかる施設となっています。

宮中取水ダム

雪国観光圏とダム

雪国観光圏に限りませんが、ダムからはその立地する地域の特徴を考えることができます。また、上で述べたように雪国観光圏にあるダムの中には奥只見ダムや奈良俣ダムなどをはじめ、観光地や見学しやすい場所も多いです。

雪は水となってダム湖に流れ込み、様々な目的に利用されています。ダムは雪国観光圏のコンセプトである「雪」とも関わる施設でもあります。一つだけでは見過ごされてしまうかもしれませんが、まとめて見ていくことで地域の特徴がわかる地域資源ということもでき、雪国観光圏としてダムの利用も考えていくことができるのではないかと思います。

 

この記事を書いたのは...

ダムの知識ガイド:目黒公司
一般財団法人日本ダム協会が任命するダムマイスター(一般)。
これまでダムについての講演などを開催。新潟県魚沼地域振興局の『うおぬまダム周遊MAP』制作監修。過去に開催されたダムの見学ツアーではバス車内ガイド等を担当。

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