開高健と奥只見湖(銀山湖)③ ダム湖にゆかりの「開高めし」
前回と前々回とで、開高健の食と釣りについて紹介をしました。今回は今でもお店で食べられる開高健ゆかりの料理について紹介をしたいと思います。
現在、魚沼市内のいくつかの店舗では「開高めし」を提供しています。この「開高めし」は開高健が銀山平に滞在していたときに食べていた料理が元になっています。
開高健が滞在していた村杉小屋の主人だった佐藤進さんの回想では、
ある時、山菜とご飯をフライパンで炒めた山菜飯を出したことがある。それを食べた開高さんは「これは商品になる」ともう少しよく炒めればよいとか、アドバイスをくれた。
滞在中、一回東京に帰ったことがあった。その時「姉上にお土産」といって大きな中華鍋を買ってきてくれた。
「上野駅で浮浪者と間違えられて来たよ」
と冗談をいってくれた鍋は、今も使っている。開高鍋という。件の山菜飯は今もうちのメニューで、釣り人に喜んでもらっている「山菜ピラフ」である。
『ザ・開高健』(読売新聞社)「開高健さんの思い出と銀山湖」より
とあり、山菜焼き飯を開高健が「これは商品になる」と言ってアドバイスをしたことがあったようです。また、回想に出てくる中華鍋は今はもう無いようですが、中華鍋をプレゼントしたというのはとても面白い話だと思います。
このエピソードを元にして開発されたのが「開高めし」です。「開高めし」は山菜焼き飯(チャーハン)であって、山菜の炊き込みご飯ではありません。「開高めし」の開発にあたって決められた3カ条があるそうで、それは、
【その1】 山菜を3種類入れる。ぜんまいは必ず入れる。(その他の山菜…わらび、こごめ、ふき、ウド、たけのこ、みず菜、きのこなど)
【その2】 必ず炒めること。炒めないものは山菜めしとして提供する。
【その3】 紅ショウガを添える。
Webサイト「食まちうおぬま」 開高めしのレシピより
https://www.shokumachi-uonuma.jp/recipe/3169/
というものです。
作り方もそれほど難しくはなく、鍋にサラダ油を入れて熱し、ぜんまい、わらびなどの山菜を炒めた後に、ご飯を加えて醤油や塩で味付けをします。さや豆と紅ショウガを添えて盛り付けると、醤油の香ばしさやもちもちした食感がおいしい「開高めし」が出来上がります。
材料や詳しい作り方は上のリンク先の「食まちうおぬま」のサイトにレシピが掲載されていますので、参考にして作ってみてください。

開高健ゆかりの「開高めし」
また、お店で「開高めし」を食べることもできます。
「開高めし」を提供している店舗は以下です。
・モンブラン
・道の駅ゆのたに 深雪の里
・ゆのたに手づくり村 心亭
・モンテローザ
・神湯温泉倶楽部
・よしみや
・おおもも(開高めし弁当)
それぞれの店舗ごとに独自の工夫や盛り付けがされていますので、食べ比べてみるのも楽しいかもしれません。前日までの予約制ですが、開高めしのお弁当も販売されていますので、開高めしのお弁当を持って銀山平や奥只見に行ってみるのもいいかもしれません。(社会情勢などにより開高めしを提供していない場合もありますので、店舗へ事前に問い合わせるのが確実です)

お弁当でも「開高めし」を食べられます。屋外で食べると一層美味しいですよ。
ダムに関連する料理というとダムカレーが思い浮かびますし、このサイトでも奥只見ダムカレーなどを紹介していますが、このようなダムカレーではない、ダム湖にゆかりの料理もありますので、ぜひ食べてみてください。
この記事を書いたのは...

- ダムの知識ガイド:目黒公司
- 一般財団法人日本ダム協会が任命するダムマイスター(一般)。
これまでダムについての講演などを開催。新潟県魚沼地域振興局の『うおぬまダム周遊MAP』制作監修。過去に開催されたダムの見学ツアーではバス車内ガイド等を担当。