カッサダムに行ってみよう!
新潟県湯沢町には「カッサダム」というダムがあります。カッサダムへ行く道路は一般の人は通れないので、一般の人は自家用車ではカッサダムに行くことができませんが、ある乗り物を使うと行くことができます。
今回はカッサダムへの行き方を紹介してみたいと思います。
カッサダムは湯沢町の中でも「田代高原」にあります。田代高原は群馬県との県境に近い場所で、カッサダムは新潟県内にあるダムの中で最も標高が高いところにあるダムです。
田代高原は一般の人は車で行くことはできませんが、苗場ドラゴンドラもしくは田代ロープウェーを利用することで行くことができます。田代高原は冬季はスキー場として多くの人たちで賑わいますが、その時期はカッサダムまでは雪に埋もれて行けません。
なので、一般の人がカッサダムに行ける機会はグリーンシーズンにロープウェーが動いている時期となり、ドラゴンドラだけが動いている新緑シーズンと、ドラゴンドラと田代ロープウェーが両方動いている紅葉シーズンとなります。田代ロープウェーは二居ダムを上から見下ろせるので、行くのであれば田代ロープウェーも動いている紅葉シーズンのほうが良いでしょう。
ここでは、田代ロープウェーに乗って田代高原へ行き、ドラゴンドラで戻ってくる行程を紹介します。(写真や行程は2019年のものです)
まずは、田代ロープウェーの山麓駅に行きます。
田代ロープウェーは瞬間地上高230mで地上からの高さが日本一高い箇所があるロープウエーです。田代ロープウェーのゴンドラは91人乗りの大きなゴンドラです。
ゴンドラからは二居ダムを見下ろすことができます。二居ダムは揚水発電の下池を形成しているダムで、上池にあたるカッサダムとセットで揚水発電を行っています。揚水発電とは水力発電の方法の一つで、発電所の上部と下部に大きな池(ダム湖である場合も多い)を造り、上池と下池の水を行き来させることで発電をするやり方です。揚水発電では昼間の電力需要の多いときは上池から下池に水を落として発電します。これは通常の水力発電と同じです。通常の水力発電と異なる点は、発電に使った水は下池に貯めておくことです。下池に貯めておいた水は、夜間に火力発電などの余剰電力を使って上池に汲み上げ、翌日以降の発電に使います。
カッサダムと二居ダムの場合は、カッサダムが上池、二居ダムが下池にあたり、奥清津発電所と奥清津第二発電所で発電をしています。
田代ロープウェーの山頂駅に降りると、眼下に湖が見えます。これが田代ダムによりできた田代湖です。田代高原にはいくつか遊歩道がありますが、そのうちの一つは田代湖の湖岸を通っていますので、湖岸の遊歩道を歩くことでカッサダムまで行くことができます。

湖岸の遊歩道を歩いて行きます

湖岸の遊歩道
50分ほど歩くとカッサダムに到着します。湖岸の道は平坦なので楽に歩くことができます。

カッサダムの上流側

堤体の上部
カッサダムは電源開発株式会社が管理する発電専用のロックフィルダムで、堤高は90ⅿです。

カッサダムに到着です

ダムの上は立ち入り禁止です

気持ちのいい湖。奥には送電鉄塔が立っています。
帰りは湖岸は同じ道を歩いて戻り、苗場ドラゴンドラの山頂駅へ行きます。苗場ドラゴンドラは全長5481mで日本最長のロープウェーとして有名です。ドラゴンドラの山頂駅の周辺にはレストランがあり、飲食の屋台なども出店していますので、景色を眺めながらここで一休みできます。

苗場ドラゴンドラに乗車
苗場ドラゴンドラからは、田代ロープウェーとは違う角度から二居ダムも見られます。

二居ダム湖の上流側
二居ダム湖に注ぎこむ清津川をドラゴンドラで渡ります。

清津川を渡るドラゴンドラ

日本最長のロープウェーで空中散歩
苗場ドラゴンドラの山麓駅からは苗場―田代連絡バス乗り場までシャトルバスが出ています。苗場―田代連絡バスに乗ることで、田代ロープウェーの山麓駅まで戻ることができます。
田代ロープウェーの山麓駅まで戻ったら、奥清津第二発電所にも行ってみましょう。奥清津第二発電所は一般の人が見学しやすい発電所で、揚水発電についての模型などを使ったわかりやすい解説や、発電所の内部を見学することができます。ここでは二居ダムとカッサダムのダムカードがもらえますので、カッサダムに行ったらダムカードももらってみてください。

二居ダム

二居ダムの洪水吐

奥清津第二発電所

奥清津第二発電所の内部。とても見学しやすい発電所です。
このように、カッサダムへは自家用車ではいくことができませんが、新緑と紅葉の時期にはロープウェーに乗ることでダムまで行くことができます。ロープウェーの駅からは歩きですが、道は平坦ですし遊歩道ですからそれほどきつくはありません。
今回は田代ロープウェーからカッサダムへ行き、苗場ドラゴンドラで戻るコースを紹介しましたが、その逆でも行くことができますし、往復を田代ロープウェーや苗場ドラゴンドラのみでも行けます。ただ、山の上は天気が変わりやすいので天候にはご注意ください。また、シーズンによりロープウェーが運行していない場合がありますので、事前に運行情報をご確認ください。
ドラゴンドラの駅周辺はにぎやかですし、少し離れればゆっくりできます。ロープウェーで行くダムというのも珍しいと思いますので、一度行ってみてはいかがでしょうか。
この記事を書いたのは...

- ダムの知識ガイド:目黒公司
- 一般財団法人日本ダム協会が任命するダムマイスター(一般)。
これまでダムについての講演などを開催。新潟県魚沼地域振興局の『うおぬまダム周遊MAP』制作監修。過去に開催されたダムの見学ツアーではバス車内ガイド等を担当。